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立山山岳

      これぞアルプス
 雪だるま 2004年レポート(8) 室堂平、弥陀ヶ原バススキー
redline
立山 テレカ
テレカ
立山
立山を遠望する。
待ってろ、今行くぞ
立山
早朝は人が少なかった
(2日目)
立山
駐昨日は完全にフロアが
人で埋まっていた
立山
手前は運転席、奥が車両で中間に
リュックやスキーを乗せる荷台がある
立山
美女平駅から振り返る
立山
1個350円が3個でなんと1000円!
あまり安くなっていないのに驚いた!
立山
まずは雪の大谷へ行こう
 「いつかは、立山」これは私が長年夢見ていたプランであった。スキーを始めたころに買ったスキー雑誌の切り抜きを今でも持っているが、そのひとつに「春スキー特集」というのがあって、西の横綱として立山山岳があったのだ(立山には山麓に3つのスキー場があるがこれらは「立山山麓」と呼ばれる。ここでいう立山山岳とは、アルペンルートにある標高2400mの室堂一体を指す)。とにかく、一度は行ってみたいスキー場だった。
 ここでちょっとお断りしておきたいが、私は山岳スキーをやるほど気合が入っているわけではなく、あくまでも日本中の特色あるスキー場を見てみたいという志向が根底にある。そのためこのサイトの趣旨はスキー場のレポートだ(スキーを極めたいのではない)。そのスキー場の定義はリフト等の動力をもって人を高い位置へ搬送するものが無ければならない。(例外は乗鞍雪渓だが、これはスキーヤーの視点ではここは山岳スキーというよりも単にスキー場となっている)。それを考えると立山山岳にはロープトウがあるからまだスキー場であり、事実、スキー場全国ガイドにも掲載されていたりする。
 また、どうしても経験しておきたいものとして「スキーバス」というものがある。バスをリフト代わりにして滑ることもできるという。これは4月中旬から5月9日までの短い期間で行われる。国内でスキーブーツを履いたままスキーを持って乗車したバスは志賀高原のバスくらいだが、これは単に移動用だった。
 これだけ特色があれば行く価値もある。それにこのサイトの管理人がまだ行ったことが無いというのも問題だ。いつかは行かねばなるまい。では、いつ行くか。ロープトウとスキーバスの両方を経験するための時期は限られている。年によって異なるが、スキーバスは4月中旬からGWまで。ロープトウは4月下旬からだ。さらに富山となれば東京から日帰りは無理だ。そうなるとGWしかない。天気とにらめっこし、さらに帰宅した翌日仕事では死んでしまうことを考えると、大型連休の2004年はうってつけだ。しかも4月24日ごろにはかなりの雪が降り、志賀高原とか行った同僚はウハウハ言っておった。ううううううううううう、もうガマンできない。とても長い前置きになったが、かくして立山山岳スキーは決行となったのである。
 いろいろと情報を集める。宿なんぞGWの立山がいまさら取れるわけがない。年末年始は当日の飛び込み(しかも一人)が余裕の楽勝だった山麓の国民宿舎も満室だ。やむなく富山市にする。気になる混雑具合だが、前日電話を入れたら、「駐車場ですか?そんな混雑していないですよ」と言われたので、まあ、東京を4時に出れば2番目のバスには乗れるだろうと読む。初日はスキーバスで軽く流し、2日目は室堂(むろどう)でスキー、山登りは1本にして、ロープトウを数本やれば完璧だ。早めに切り上げれば楽勝だろう。なんというパーフェクトなプランだろうか。
 出発当日、3時半に起きる。いろいろあって関越自動車道に入ったのは4時40分。6時15分に湯の丸のSA、7時15分に妙高SAで休憩し、8時30分に立山ICに降りる。あまり渋滞は無かったが、7時には各高速道路の下りの渋滞が始まっていたので、GWは早めの行動を心がけよう。年末年始に立山山麓に来た時は夜中だったが、看板が多いので迷う道ではない。結局9時10分に立山駅に到着。427kmの走行距離だ。
 ところがなんと、自動車の洪水だ。なんだ、駐車場あいているなんてウソじゃないか!?。ずっと奥まで行くとそこに係員がいて、「駐車場は2時間待ちだよ。そしてケーブルカーに乗るのに1時間だから、帰ったがいいね」とかほざきやがる。まず、この申し訳なさそうな表情のひとつもない、せせら笑うような態度が気に入らない。「昨日の夕方電話したらすいていると言っていたぞ」と言ったら、「昨日の夕方ならすいていたけど、ここんとこ夜中のうちには満車になっている」だと。そういう時は、すいているとは言っちゃだめ。しかし、このまま帰るわけにもいかない。無理に遠くの場所に止めて駅に行ったら、ものすごい行列を見て唖然とした。2階のケーブルカーの乗車口から発する長蛇の列は階段を伝わって1階から外まで飛び出していた。その観光客たちのこぎれいな服や新品のトレッキングシューズを見ると、この日を楽しみに気合が入っていたことがうかがえるが、自分たちが直面している状況にぼうぜんと立ち尽くしており、これから引き揚げ船に乗るかのような憔悴しきった面持ちであった。そして足元の子供たちも親の表情を敏感に察知し、不安を隠すせない様子であった。今切符を買っても乗れるのは12時ごろだという。ううむ、私はイヤだ。こんな現実を受け入れるわけにはいかない。今まで途中で引き返す、スキー場に背を向ける、といったバチのあたるようなことはしたことが無かったが、これには参った。強引に山の上に行っても、帰りにまた行列だ。とぼとぼ引き返し、高岡市へ観光に行くことにした。立山は、朝早くなければならないのだ。
 翌日、気合で4時起きし、5時には富山市のホテルを出発する。そして5時50分に立山駅着。今度はすんなり第二駐車場に入ることができたが、それでも離れた場所だ。切符は立山駅から室堂まで往復4,190円だが(高い!)、途中スキーで滑り降りる区間があるので、片道2,360円を買う。
立山黒部アルペンルートの交通
※参考までに、立山駅から信濃大町までは片道9,150円だ
立山山岳 地図
雪の大谷
雪の大谷だ
雪の大谷
バスが頻繁に通る。
ここが一番壁の高い地点だ
立山
遠く富山市、富山湾、
能登半島まで見える
立山
ううむ、ストック無しだときついかなあ。
雪の大谷からスキーコースを望遠レンズで
 立山駅から美女平までのケーブルカーは整理券が配られる。10分〜15分に1本は出ているようだが、私は45分後の出発だ。周囲をうだうだやって、ケーブルカーに乗った。ケーブルカーを降りた美女平駅からは高原バスに乗り換える。ちなみに立山駅より上を走ることができるのは高原バスや特別に許可された車だけだ。この点はスイスのツェルマットや中央アルプス千畳敷のようだ。
 駅前には人数相応のバスが待っていた。一般スキーは別料金300円を取られるが、ファンスキーは無料だ。(実は、私が今回、買ったばかりのファンスキーを持ってきた。先日の身体障害者の子供たちにスキーを教えるボランティアでは、ファンスキーの方がずっと行動しやすいことが分かり、3日ほど前にファンスキーを買ったのだ)
 高原バスで室堂へ。バスの中では観光ビデオが流されていて、遠くに滝が見えるポイントになると徐行するサービスがあり、観光バスとしての機能がある。途中、バススキーの駅となる弥陀ヶ原(みだがはら)や天狗平は通過し、高さ20m近い雪の壁で有名な「雪の大谷」をゆっくり通過すると室堂(むろどう)に到着だ。
 ここは標高2450mで日本一標高の高い駅らしいが、とにかく人が多く、しかも通路はみやげ物を売る店員が立ちはだかって、チョコレートを試食しろとしつこいところだ。
 ここではトロリーバスに乗って黒部へ向かう集団や、雪の大谷をゆっくり見る集団、室堂散策、そしてスキー板を担いだ集団に分かれる。私は何でも見る人なので、大谷に戻ることにした。スキーブーツは室堂に預け、普段の靴のまま大谷へ向かう。ここは室堂駅から歩いて3分ほどの場所にある。実に壮観ではあるが、実際には200〜300mほど歩いた地点が最も雪の壁が高いので、そこまででOKだ。雪の壁を目の当たりにするのは月山以来だが、高いお金を払い時間をかけて来たことだし、見るだけの価値はあるだろう。すると近くのバアさんの「あら、あんなとこでスキーしている人がいるわ」という声で斜面を見ると、数人がスキーで歩いていた。私ももうすぐ見られる側だ。
 本来、スキーバスコースは弥陀ヶ原〜天狗平だが、登山バスのほとんどが室堂直行なので、室堂から天狗平までは滑れるのかを来る前に電話で聞いたら、「ほとんど横滑りですかねえ」なんて言われたのだが、この斜度と雪質では横滑りもできそうにない。やはりストックを持ってくるべきだったか。
@黄色い星印の「室堂駅」

A道路を歩いて「雪の大谷」で観光、再び室堂へ

B板を担いで浄土山の2合目くらいまででGIVE UP。

C浄土山を滑り降り、室堂平で道を聞く。
 沢を滑り降りてキャンプ場へ向かう

Dキャンプ場でTバーリフトに乗る

E雷鳥荘脇でランチ、歩いてみくりが池温泉へ

F室堂駅に戻り、いよいよ弥陀ヶ原へ
立山 室堂周辺 地図
立山山岳
室堂平を歩く
立山山岳
駅と一体のホテル立山
立山山岳
急にすごい景色が現れたので感動した
立山山岳
右の山が雄山(3003m)で、その右下の地下に
アルペンルートのトロリーバスが走っている
立山山岳
上の写真の山頂付近を望遠で撮影。
滑った跡がいっぱいあった
立山山岳
3日前に12000円で買った板の
デビューでもある
立山山岳
浄土山の途中で撮影。
左がホテル立山、右が立山室堂山荘
立山山岳
キャンプ場に向かう沢を
滑ることにする
立山山岳
沢の途中ですれ違った登山客を
振り返って撮影。紫外線がものすごい
立山山岳
雷鳥沢キャンプ場だ
立山山岳
Tバーリフトがあるぞ
立山山岳
大谷より下は雪の壁は低い
立山山岳
やばい、ガスってきた
立山山岳
時々下をバスが通る
(ロープ際で撮影)
立山山岳
弥陀ヶ原のバス停は小屋があり、
待合室になっている 
立山山岳
美女平の駅は
観光客でいっぱいだ
 さて、室堂駅に戻り、ブーツを履き、相棒とは別行動になり、いよいよ山登りだ。室堂平はガスがかかっており、山が見えない。低い雲が垂れ込めているのだが、遠くの富山市と日本海は実によく晴れていて、能登半島まで遠望することができる。しかし山が見えないのでは話にならない。私は経験的に登りたいだけだし、周囲の山スキーの人たちとは基本的に装備が全く違うので、山登りスキーは1本だけにする。
 ところが私の装備が、あまりにもゲレンデスキーヤーであることに気づいた。なにしろ、ストックを持ってきていないのだ。車のトランクには入っていたが、ファンスキーだし、いらんだろうと持ってこなかったのだ。ところがスキーブーツで歩くときはバランスをとるだけでなく、腕の力も有効に活用するためにストックは必需品だ。バランスをとりにくい春雪の斜面を登る。もう遠くの山に登る気はないので、とりあえず景色がよさそうな斜面を登った。しかし、奥のかっこいい山に列をなして登っていく人たちは、みんなすごい装備だ。いかん、立山はTバーリフトがあるというので中央アルプス千畳敷のような軽い気持ちで来てしまった。標高も高く、30歩ほど歩いてはハアハア言って時間が過ぎる。これ以上登ってもたいして得るものはあるまいと、滑り降りることにした。初めてファンスキーで滑る。おお、いい感じではないか。と、油断して2回ほどターンしたら転倒してしまった。やはり普通のカービングスキーと一緒にしてはいけないのだ。慎重に滑り、コースの分岐まで降りた。さて、Tバーはどこかな。登山客に聞いても知らないという。ここは初めてという人が多いようだ。ようやく、「室堂駅まで戻るコースだと起伏が大きいので、この沢をずっと降りてキャンプ場に行くのがいいよ」と教えてくれた。ありがたや。するとすごい勢いで空が晴れだし、山がきれいに見え始めた。急に舞台の幕が上がったようだ。
 驚いたことに、景色は中央アルプス千畳敷と実によく似ていた。本当にそっくりだ。中央アルプス千畳敷は氷河が山腹を移動するときに削って造ったカール地形に雪がたまったものだが、ここは山崎カールというカール地形もあるくらいだから似ているのも当然だ。ただし、こちらの方がずっと広く、見る者を圧倒するような景観だ。木は1本も無く、氷河地形特有の荒々しい岩肌が「どんなもんだい」と腰を下ろしているようで、その脇を山岳スキーヤーがアリのように一列になって登っていく様はフランスのシャモニを彷彿とさせた。しばらくその場で立ちすくんで見とれてしまい、いつまたガスがかかるか分からないので写真を何枚も撮ったりした。それにしても日本にもこのような風景の中でスキーができる場所があったとは。
 先ほどの登山者に教えてもらった沢に下りると、向こうから登山客が登ってくるのが見える。すれ違うときに挨拶するとみんなうれしそうな表情だ。そうだろう、出発時は絶望的なガスだったのに、いきなり天気が良くなったのだから。しかしこの天気がクセものだった。とにかく、すごい紫外線だ。私は紫外線を視認できるような視力は無いが、とにかく感じるのだ。サングラスをかけているのにまぶしいくらいで、はずすと1ミリたりとも目を開けていられない。沢なので、両脇の山から紫外線が降り注ぐので、たまったものではない。紫外線のグリルの中にいるようなものだから、通常のスキー場の雪上の何倍も紫外線が強いはずだ。SPF50の日焼け止めなど1回塗ったくらいじゃ貫通楽勝だ。
 ノーストックのファンスキーなので高度を大切に使いながら滑っていく。途中の斜度の強いところでは、ファンスキーはカカト荷重にするとスピードを制御しやすいことが分かった。でもたとえ不似合いでもストックはあったほうがいいなあ。
 やがて前方に無数の色とりどりのテントが並んでいた。ここがキャンプ場だ。そのすぐ近くににTバーリフトの乗り場があった。Tバーは1回200円、6回で1000円、1日券は3000円だが、まさかここで1日券はあるまい。1本滑って、もう1本は登るのに使うから、2回乗ろうか。とりあえず1回乗る。バーは自分でワイヤにひっかけて乗る、中央アルプス千畳敷で見たのと同じものだ(ロープではなく、ワイヤだ)。ひっかけてしゅるしゅる登るが、結構急斜面なので、握力が必要だ。Tバーを足に挟んでいるだけではもたんわい。そうしたらこともあろうに、転倒してしまった。ゲゲッ、転倒するなんて1級剥奪か?。いつものカービングを履いているつもりで遠くを見て乗っていたのが失敗で、初めてのファンスキーなのだから、足元をみていないとダメなのだ。7合目くらいまで登っていたのだが、やむなく滑り降りる。まあ、いいか。もう一度200円払って登ろうとしたら、「あんた、さっき転んだでしょ?。乗って、上に着いて1回なので、いいですよ」と言ってタダで乗せてくれた。こういうなんでもないことを笑顔でできるかによって、スキー場のイメージが変わり、また来ようかという気にもなるのだ。若いのに人間ができておる。立山駅駐車場のオヤジとは大違いだ。
 さて、もう一度Tバーで登る。今度こそ足元に気をつけて登りきる。そこからは剣岳を背景にキャンプ場のテントが花畑のように見える。いい景色なので、ここで朝コンビニで買ったサンドイッチやらなにやらを食べた。早いランチだ。
 Tバーの上は雷鳥荘という山小屋というか、山ホテルがあった。ここから上り下りしながらみくりが池に向かう。池はほとんど凍っていたが、氷は薄くなっており、池の形がよく分かるくらいだ。ここからすこし歩いてみくりが池温泉へ。こんな山の高い所に温泉とは驚きだが、このあたりは硫黄のあの卵の腐った臭いがしているのだ。眼下には立ち入り禁止の立て札もあり、黄色い色の湯が沸いているのが見えた。看板には地獄谷とある。ここには鍛冶屋地獄とか百姓地獄とかいう名前の地獄があり(○○地獄なんて、別府温泉みたいだが)、遠くからでも立ち入り禁止のロープが張り巡らされている。過去には硫化ガスによる死亡事故もあったというから、草津なみだ。このへんのコースはトレッキングシューズの観光客も多い。室堂駅と高低差がほとんどないので、歩きやすいのだろう。とりあえず室堂駅に戻り、スキーブーツに履き替え、いよいよバススキーのコースへ向かう。
 ここでいやなことが始まった。雨だ。さっきまで殺人的な晴れ方をしていたというのに、突然ガスがかかり、雨が降りだしたのだ。うううう、どうしよう。雪の大谷の横あたりで雨が強くなった。戻るには半端な距離だ。しかもこの室堂近くはコースが平坦だ。ノーストックのファンスキーはこげないので、高度を大切に使いながらスケーティングをして進むが、雪が腐っていてどうにも進まない。雨よりも、ストックを持ってこなかったことを悔やんだ。後ろから来た山スキーヤー5人くらいに追い越され、その後は誰も来ない。ううう、寂しい。しかも雨だ。雨具になるウィンドブレイカーだから良かったが、もしもふつうの服装だったらギブアップだ。頻繁に観光バスが眼下を通る。きっと車内では、「あんなとこにストック持たずにスキーやってるのがいるぞ」と騒いでいるに違いない。とにかく必死に室堂の平らなコースを脱出しなければ。
 途中、ハイマツのなかで鳥の鳴き声がした。おそらく雷鳥だろう。よく見たかったが、先を急ぐことにした。そして急に目の前が開け、ここがまたゆるくて平坦な大斜面だ。とにかくスピードを落としたくないので、腰をかがめ、両手を勢いよく上に振り上げ、その反動で進んだ。なかなかいいじゃないか。もし止まっていたらヒンズースクワットに見えるかもしれないが、とにかく上下動と両腕を一気に前に振り出す動作で面白いように進むことが分かった。ファンスキーをはじめて数時間しか経っていないのに、誰にも教わらずに滑り方を開発できた。ひょっとして私は天才じゃないのかと思った(翌日、すごい筋肉痛になったことには目をつぶって)。だんだん雨が強くなる。こりゃあいかん。ノーストックなので低いところに向かって滑るとロープが張られていて、そこから数十m先には雪の壁があって、道路に転落することになる(ロープは確実であり、うっかり転落の心配はない)。よく見ると先ほど私を抜いた山スキー軍団は斜面のずっと高いところを滑っている。やはりストックがないとだめだ。遠くに建物が見えたので、一息つこうと行ったら閉鎖されていた。しまった、大切な高度をかなり使ってしまった。思ったとおり、その先を滑るために斜面を登らなければならなくなった。登るのもノーストックは不利だ。板を外してファンスキーを両手に持ち、ひいひい言いながらラッセルをしてコースに戻る。そして次の建物のある場所まで滑る。雨は少しやんできた、というか、降っている範囲を脱出したようだ。まだ明るいからいいものの、これが夕方だったらどんなに不安だっただろうか。うっかり変な穴に転落してケガしたら、どうなっていただろうか。単独行動の怖さだが、今は私一人で滑っていてよかった。もし相棒を巻き添えにしてこんな軽装備で滑っていたら、何を言われたか分かったもんじゃない。
 到着した建物は公共の宿で、そこが弥陀ヶ原だった。知らない間に天狗平と美松は通過してしまったようだ。ここが終点と思うとホッとした。本来ならばここからバスで天狗平まで登ってもう1本滑らないとバススキーにならないと思っていたが、もともと室堂までバスで登ったわけだし、今滑ってきたコースはそのバススキーのコースだからいいだろう。板を脱いでブーツを履き替え、帰りの切符を買った。弥陀ヶ原から美女平経由で立山駅まで1760円。その場で美女平駅から立山駅へ降りるときの整理券をもらった。
 通常のバスは美女平と室堂をノンストップで運行するので、ここ弥陀ヶ原に停まってくれるバスは30分に1本くらいだ。バスに乗るとすぐに美女平に到着。すごい人で、乗車までは45分待ちだという。時間がもったいないので食堂でそばを食べたが、とてもまずかった。窓の外には同じくらいの高さで遠くにスキー場が見える。4ヶ月ほど前に行った立山山麓スキー場だ。意外と近くにあるようだ。
 立山も、もうちょっとTバーを増やせば、あるいは長いTバーを設置すれば、もっとスキーヤーも集まるんじゃないだろうか。そうすればもっと手軽に立山の景色を多くの人に楽しんでもらえたはずだし、行動半径も広がるというものだ。
 帰りはケーブルではなく、振り替えでバスになった。立山駅で相棒と合流し、4時に立山駅を出発、途中妙高高原で渋滞をくらい(1車線によるもの)、小布施を7時に到着、GWの渋滞をくらって東京に戻ったのは11時近くだった。
 今回は実に見るものが多く、サイトの管理人としても貴重な経験が多かった。ただ、温泉に入れなかったこと、食べ物には恵まれなかったこと、雷鳥を見ることができなかったことだけが心残りだ。
 東京からも名古屋・大阪からも中途半端に遠い富山だが、行程を工夫しながら、一度は行ってみるといいかもしれない。新しい発見がたくさんあるだろう。
orangeline
立山山岳 立山山岳
雪の大谷は落書きが多かった 室堂平。ガスっていた
立山山岳 立山山岳
ちょうど頭の高さに雲がたれこめていた ちゃんとこれくらい装備していなくちゃ
立山山岳 立山山岳
この山の途中で挫折した やっぱり気合が違うなあ
立山山岳 立山山岳
突然晴れだしてびっくり
 上はものすごい強風のようだ
みんな雄山に向かって歩いていく
立山山岳 立山山岳
雲がすっかりなくなった 沢の中はグリル状態だ
立山山岳 立山山岳
雪上車の運転手は
アラブ女性のようだ
この沢をずっと下るぞ
立山山岳 立山山岳
沢から、浄土山を振り返る
矢印のところにある黒い線、見える?
左の写真の黒い線は、
登山客の列であった!!
 
立山山岳 立山山岳
お花畑だ 滑ってきた沢を振り返る
立山山岳 立山山岳
ロープトウだ 2回目を無料にしてくれたお兄さんだ。
スピードコントロール中だ
立山山岳 立山山岳
これが接合部だ ロープトウ上部より。
キャンプ場が見える
立山山岳 立山山岳
もうひとつ、ここは
紫外線地獄だ!
黄色い色が見える。
イオウの臭いがする
立山山岳 立山山岳
みくりが池はほとんど
凍りついていた
みくりが池温泉ホテルだ
立山山岳 立山山岳
暗雲と温泉の蒸気。
遠くは富山市だ
大谷が見える。それにしても
斜度が弱いなあ
立山山岳 立山山岳
雪の大谷からスキーヤーが見えた
あたりを滑る
ちょっと晴れてきた。
ありがたや
立山山岳 立山山岳
遠くにホテルが見える。
(弥陀ヶ原だった)
美女平駅のわさびそば。
学食よりまずいが、仕方ない
立山山岳
北米やヨーロッパアルプスに負けていない景色だ
 
スキー
 景色は中央アルプス千畳敷によく似ていると言ったが、両方行くなら、中央アルプス千畳敷を先にしよう。立山の方が広大さや景色の点でずっと上なので、中央アルプス千畳敷を後から行くとがっかりするかもしれない。そしてここのような感じの景色が気に入ったら立山にいくのがいいだろう。
念のために、当サイトのページをご覧ください。⇒中央アルプス千畳敷
また、日焼け止めは何度も塗るだけでなく、肌の露出したところはしっかり塗ろう。私は塗っていなかった首の後ろや耳たぶはもちろん、のどのあたりや上唇の真ん中のすぐ上(鼻の下)など、塗っていなかった場所はしっかり焼けてしまった。翌日、ひりひりになって数年ぶりに皮がむけ、会社の女の子に気味悪がられた。
スキー
 立山黒部アルペンルート(公式サイト)
 立山
Goods
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