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ツェルマット:概要
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ツェルマット 概要

マッターホルン!
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■概要 
マッターホルン
マッターホルン
 ツェルマット(Zermatt)は、イタリアとの国境に接するスイスのヴァリス州にある町で、古くからマッターホルン山麓の町として知られている。日本人スキーヤーがツェルマットを訪れると、天候さえ許せば、必ず峠越えをしてイタリアのチェルビニアに行くので、表題にはイタリア国旗も揚げておいた。
 ツェルマットのスキーの特徴を説明するには、日本との差異を話した方が分かりやすいだろう。日本のスキー場に慣れたスキーヤーから見ると、どのように感じるものなのか。日記の前に、全体的な相違点を中心にお話しよう。

■場所とアクセス 
スイス 全図 
ツェルマットはここだ! 
■旅行費用
ツェルマット  
チューリヒの空港  
 まず、旅行代金は非常に高い。なにしろ、航空運賃からいって高い(同じ距離ならば北米の方が半値くらいか)。したがって、日本人がよく行く海外スキー場の中では、ヨーロッパのスキー場はすべて高いのだが、さらにスイスはヨーロッパでも物価が高いことで知られているうえ、観光地でもある。北米と比べると宿泊費、食事代など、何でも高い。町全体が日本のスキーリゾート並みだと思えばいい。そのため、峠越えをしてイタリアへ行った時に、ごっそりと買い物をする人も多い。
食事は高く、外食しても町全体がレストラン料金で、マクドナルドで夕食と思っても1500円以上、長期滞在は自炊でもしなければ不向きなところだ。
■ツアーの種類
雲のかかるマッターホルン
雲に隠れる
 ヨーロッパのスキー場は、空港に到着してからが長いものが多い。そのため、ツェルマットのスキーツアーはおおむね2種類に大別される。1つは、日本を昼に出発して、チューリヒに当日の夕方到着、バスの強行軍で深夜にツェルマット入りして、翌日からいきなり滑るパターン。もう1つは、チューリヒからジュネーブに乗り継ぎ、いったんここで宿泊する。翌日、市内観光をした後、昼に出発して、ツェルマットには夕方到着するパターン。こちらは、滑る日が1日短くなるが、余裕はある。時差に弱い私は後者を選んだ。スイスの都市観光をしたい場合もお勧めだ。
 (※最近はインターネットで情報も充実してきたので、英語ができる人は自分でスケジュールを組んでみてもいい)
 なお、スキーツアーは、ガイド付で峠越えをしてイタリアへ行く日が設定されているものを選ぶのがいい(たいてい、付いているが)。効率よく、一通り見るためには、ガイドがいた方がいいし、レストラン選びなどで失敗しなくて済む。国内やカナダ等と比較して、情報がまだ少ないのだ。
■スキー場の性格
マッターホルンの夕暮れ
ほとんどのエリアから
見ることができる
 ツェルマットのスキーを一言で表現するならば、それはマッターホルンを見るためのスキーと言える。もし、悪天候で一日もマッターホルンが見えなかったとしたら、それは、オーロラツアーでオーロラが見えませんでしたとか、ホエールウォッチングでクジラが出てきませんでしたというのと同じくらい悲しいことだ。私は12月に5日間滞在して、すべて見えたが、方角によって外観が大きく変わるマッターホルンは、決して見飽きるものではなかった。ラッキーとしか言いようがない。天候ばかりはどうにもならないので、日々行いを正し、徳を積んでおくしかないだろう。
 その他、観光要素が強いことがヨーロッパの特徴といえる。夏でも老若男女を運ぶためにロープウェイが中心となる。そのため、気に入った斜面を何度も繰り返し滑って練習する、なんてことには向かない。単純に距離を滑りたいなら、カナダの方が格段に優れていると言える。ヨーロッパアルプスはリゾートなのだ。リフト券の元をとってやれ、なんてゆーよーな高度成長期の日本的発想は持ち込まないほうがいい。ロープウェイを他の人より1本多く滑ろうが関係ない。ただ、山の上にいて景色を見ているだけで、上手か下手かに関係なく、アルプスを楽しむことができるのだ。それは、スキーをやらない、ただ冬山を見に来ただけの観光客も大勢いることからも分かるだろう。
  
ツェルマットのスキー地図
■スキー場の概要
 ざっくり4つのスキー場に分かれる。
東壁
東壁を間近に
 @クラインマッターホルン
ロープウェイ2本を乗り継ぎ、富士山よりも高い3820mの駅まで登る。ここには夏スキーでも有名なテオデュル氷河が広がる。Tバーが多いので「のろいからいやだ」という人はアルプス向きではない。このTバーからの眺めは日本では決してお目にかかれない絶景、奇観ばかりだ。天気がいい日はじっくり楽しもう。また、ツェルアムゼーからマッターホルンの北壁を眺めてみよう。登山史では多くのドラマを生んだ斜面だ。
イタリア
こんなのがずっと続く♪
 Aチェルビニア(イタリア)
厳密には、イタリアだからツェルマットではないが、板を履いたまま滑りこめるのと、多くの客が訪れるので、いれておく。テオデュル峠から、二十キロ以上の長い長い快適な滑走が続く。八方尾根のリーゼンみたいなコースを、すいている状態で、もっとずっと長く滑走し続けてから死にたい、と言う人にはお勧めだ。食事も安くておいしい。念のため、パスポートを忘れないように。
ゴルナグラート
間近に見えるぞ
 Bゴルナグラート
登山鉄道を使い、世界で一番高所にある本格ホテルもあるゴルナグラート駅から滑る。ここのポイントはマッターホルンがほどよい距離に見えており、迫力もある。東壁をこちらにむけ、ヘルンリ尾根を伸ばした姿は優美でもある。ただしここで1日をつぶすにはさらに上のリフトが動いているくらいでなければならない。モンテローザも美しい。初日の足慣らしに最適。
スナガ
もっともスリムで美しい
 Cスネガ
最もマッターホルンから離れているが、最も美しく見える場所として、観光客に人気のエリアだ。ツェルマットの町からは地下鉄で登る。滑るにはさらに高いロートホルンまで登ることになるが、このエリアから見るマッターホルンは常に美しい。天気がよかったら、最優先で行きたい場所だ。
ツェルマット
ヨーロッパ一長いTバーもあるとか
 最後にスキー場全体にいえることを。
 リフトはロープウェイや鉄道をメインラインとし、上部ではTバーがよく使われる。森林限界を超えている場合や、氷河のように土台ごと動いてしまう条件では、メンテナンスも入れやすいTバーの方がいいのだろう。しかし、テオデュル氷河には世界一長いTバーや、途中で曲がるTバーなんてのもあるから、初心者注意だ!
Tバーに慣れていない日本人には油断がならないと言える。初心者のスノーボーダーは旅行会社の人と相談した方がいいだろう。
コツは、慣れない人は慣れている人と二人で乗ること、特にスタートでは板をまっすぐにそろえること、ストックは2本まとめて片手で持ち、もう片手でTバーをつかむこと、決してTバーの上に腰をおろさないことだ。
 
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私はマッターホルン登山のために、2011年の夏に再びツェルマットを訪問した。
その時はツアーではなく、個人ですべて手配した。スキーで行った本レポートの1999年冬とはインターネット環境などが大違いであったことから、今後、一人でも安く行きたい人のために、最新の情報を追加しました。
(2013年7月 追記)
■旅行計画の立て方
 まず、日程を組むには、一般の旅行会社のパンフレットやネットを見て、おおまかに滑って回るべきエリア、コースを確認する。旅行が終わってから「あ、あれを見落とした」「有名なあそこに行ってなかった」ということが無いようにしよう。また、どの程度のホテルに宿泊するべきかも見当がつく。日本の旅行会社がツアーに組み入れているホテルなら、少なくともひどい目に遭った、全然大外れだった、ということはないだろう。

(1)飛行機
 どの航空会社かは@日程と時刻A料金 で決める。自分が休める日程で、時刻もへんな所を経由したりしないか。チューリヒとジュネーブの両方を考えること。
 HISに頼んでも、結局、フリーバードなんかで検索して、手数料だけ取られるから、自分でやろう。今はバウチャー(航空券の引換え券)を入手して空港に行くのではなく、予約番号だけ入手して空港のカウンターに行く時代だ(そのかわり、予約時の名前はパスポートと1字たりとも間違えてはならない)。
 フリーバードはこちら
 http://www.free-bird.co.jp/ScheduleSearch/input.asp
 価格比較サイト
 http://www.skyscanner.jp/

(2)スイスの国内移動
 チューリヒ夜到着だと列車に乗ってツェルマット深夜到着と言う場合も多いので覚悟だ。ジュネーブで当日宿泊し、翌日、電車でジュネーブからツェルマットに入るのもいいが、初日は街中観光になる。
 どちらにせよ、空港からは電車が出ている。時刻表は下記を調べればいい。
http://www.myswiss.jp/jp.cfm/transport/timetable/
 ここでぜひとも忘れないで欲しいのが、スイスパスというチケットだ。スイスの空港から特定の観光地までの1往復が格安になるもので、私はジュネーブ⇒ツェルマット、ツェルマット⇒チューリヒで利用した。
http://www.myswiss.jp/jp.cfm/transport/sts/ticket/
スイストランスファー
http://www.raileurope-japan.com/pass/736?displayClass=2&familyId=100092
また、マッターホルン博物館の入場料も無料(私が行ったときは)など、特典も多いので利用しない手は無い。

(3)ホテル
 もともと高級リゾートだが、安い宿もあり、夕食提供なしもある。外食はマクドナルド以外は高くて(そのマクドナルドも1500円はするが)、普通の食事は数千円は飛ぶから、生協でサンドイッチの他いろいろ購入するのがいい。慣れた人になると、日本からカップめんとか持ってくる人がいるが、長くいると食べたくなるし、また時差で胃が疲れているときは本当に食べたくなるものだ。
 でもやっぱりスイスの食事がしたい、という人は夕食付のホテルを選ぼう。また、ホテルは逐一、町のどこにあるか確認すること。

HIS、楽天、JTB、Agoda、オクトパスなどを調べる。同じホテルの同じプランでも、料金が異なる場合が多い。この時、宿泊した人の評価も大変参考になるし、楽しいものでもあるので、ぜひ検索しよう。
■買い物
 食べ物は生協またはもうひとつのスーパーで決まり。お土産はチョコレートがかさばらなくていい。自分用のおみやげは街中の土産物店を見ればいいが、同じものを違う値段で売っていたりするので、メモして、終盤の日の時間があるときに一気に買おう。
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TIP
 ツェルマットはマッターホルンに象徴される町である。このホームページのスーパーエッセイにある、「マッターホルン物語」を熟読してから行くとよい。
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arrow ツェルマット・スキーの概要
日記:1日目(東京〜ジュネーブ〜ツェルマット 移動日)
日記:2日目(ゴルナグラート〜シュヴァルツゼー)
日記:3日目(クラインマッターホルン〜チェルビニア)
日記:4日目(ヴァルトゥールナンシュ〜チェルビニア)
日記:5日目(スネガ〜ロートホルン +そり遊び)
日記:6日目(チェルビニア〜テオデュル氷河)
日記:7日目(ツェルマット〜チューリヒ〜東京 移動日)
 
 
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