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ウィスラー日記:4日目

ブラッコム:  スキー場になるためにできた山
  
■ブラッコムはここから始まる。スキー場は
 このクワッドの彼方にあると思ったがいい
 
■朝イチの快適バーン
 
■圧雪がゆきとどいている。朝イチは
 本当に暗い感じだ
■見渡せば雲の上だ!
 
山門の狛犬や東大寺の仁王像は、向かい合って口を「あ」と「うん」の形にしているのはご存知であろう。実は、これはスキー場にもいえることなのだ。ウィスラービレッジをはさんで、ウィスラーとちょうど同じような形、高さの山に同じような設備を持ったスキー場がブラッコムなのだ。
 日本人にはウィスラーの方がなじみがあるが、ほとんど同じような規模である。あえて違いをいうなら、ウィスラーの方がまだ初心者でも楽しめる部分が多いという印象がある。ブラッコムの方がボーダーも多い。

 ただし、セブンスヘブンのような広々とした日本離れしたゲレンデや、ブラッコム氷河のような、いかにも氷河といったコース(ウィスラーの氷河はリフトで繰り返し滑れるので人が多く、遠くの緑がかった景色が目に入るので、氷河の実感が無い。ブラッコム氷河はボウル状で、別世界のようだ。ただし、リフト位置の関係で繰り返し滑るのは時間のロスが大きい)があるので、外国に来たという印象が強烈だ。

 今日も送迎バスに乗り、ブラッコムのバス停で降りる。ブラッコムの周囲にはアッパービレッジという名のビレッジがあるが、ウィスラーのような大きなビレッジではない。落ち着いた雰囲気がある。目の前にシャトーウィスラーという最高級リゾートホテルがあるが(毎年クリスマス、ミックジャガーが来るらしい)、ビレッジは小さめだ。あなたが初めてウィスラーに行くのなら、ウィスラービレッジ側のホテルの方が面白いだろう。ただし、新しくできた(この時は工事中)ノースビレッジはウィスラービレッジに隣接しているものの、ゴンドラ駅までえらい歩くので注意だ。それにしても閑散とした印象があるが、油断はならない。最初のクワッドを降りた場所には、隣のウィスラービレッジから直通のゴンドラの降り口にもなっており、二本目のクワッドからは混雑しやすいのだ。
  1:アッパービレッジ   2:レストハウス「ランデブー」
   3:セブンスヘブン   4:ブラッコム氷河 

 ブラッコムの一番下のクワッドはチケットのチェックがある唯一のゲートだ。長くて速いクワッドで3合目あたりへ。ここからさらに乗り継ぎ、ランデブーという名のレストハウス行きの長いクワッドに乗る。それにしても圧雪が丁寧だ。誰かが滑る前に、何とか先に滑ってやれという気にさせるほどだ。そこへスクールの先生らしきうまい人が滑っていると、自分の魂が乗り移っているような錯覚になる。「ああ、あれは5分後の自分の姿だ」なんて、勝手な想像をしてしまうのだ。
 少し早く来たようだ。今日もロッジの客と滑るつもりなので、先に1本だけ滑ってみよう。今クワッドで見てきたコースを滑る。
 ところがこのコース、圧雪がいきとどいているのに、実に手ごわい。日本ならばコブ斜面として放置するような傾斜を圧雪しているのだ。2級も持っていなかった私は暴走を避けるために、立ち止まったりするのだが、クワッドから丸見えなので、どうもかっこ悪い。さらにウィスラーもブラッコムも基本的に頂上からビレッジに向かっては北向き斜面だが、所々で西向きもある。そのため朝は空が明るくても足元が暗めだ。さらに時々すごい傾斜があり、ハッとするや身の丈ほどもストンと落ちてしまう急傾斜があり、スリル満点だ。ああ、怖い。それでもなんとかクワッド1本を滑り、集合場所へ向かう。班分けではカメ班の希望者が多かったため、私はまたも戸塚班になった。


スキースクールなどのインフォだ
これがTree Skiのための間引きコース
 
左がレストハウスで、正面がW-CUPの
  モーグルバーン
ティッシュの設置は日本でも見られる
 ようになった
シングル・レーンの入り口
 

 ここで再びアルパインロッヂの経営者を紹介しよう。兄はジェフといい、弟はキャムという。この兄弟は日本語が堪能なのは同じだが、とても兄弟とは思えないほど性格が違う。兄は自分が楽しむことを最優先し、時には客を置き去りにするのは平気で、戸塚班では無理に班に編入させておきながら、遅いと「あっちの初心者コースを回ってこい」とか平気で言ったり、女の子が雪の中でもがいていると「まったく、これだから女はだめだ(もちろん本人に聞こえないように。基本的に女好きだが、ゲレンデでは女嫌いになる)」と言ってのける。もっとも、ウィスラー周辺ではもともとこういうキャラクターで知られているらしいので、これはこれで仕方ない。基本的に面白い男で、彼のファンは多い。
 それに対して弟のキャムは実に思いやりがあり、堪能な日本語でのガイドもかなり真剣に説明してくれるし、とにかくホスピタリティに溢れている。ブラッコム氷河へ入る登りでは、へとへとに疲れた女性客の板と自分の板の2セットを黙々と担いで登っているのを見ると、こちらまでうれしくなってしまう。彼に会うために来る人も多い。ところが彼の日本人の奥さんの道代はちょっと慣れてくると言葉遣いも含めて、客をともだち扱いする、ひどい女だ。ある時、ゲレンデでアメリカ人が「ホワイトスネイクに噛まれた」と言っていたのを聞いて、ホワイトスネイクとは何か道代に尋ねたら、笑いながら「白い蛇が来て、ガブッと噛んじゃうのよ」とまともに教えない(というか、客をからかう)。ムッとして何だか教えろと言っても、さらにからかうように「白い蛇がいるのよ」としか言わない。万事がこんな調子だ。初めて来る客には熱心だが、ちょっと慣れると「あんたたち、分かってんの」という感じで接する。完全な友達以下扱いだ。しかし、金を払っているという事実を忘れてもらっては困る。ちなみに私と同じ時期に2年連続してきていた某常連はその後とうとうケンカして、アルパインロッヂに行かなくなったという。旅行でも、一番思い出に残るのは人間。食事や交通でいやな思いをしても忘れるものだが、人間に関する思い出はいつまでも残るものだ。もしいやな思い出を残したくなければ、このような宿には泊まらないことだ。なお、キャムと日本人妻の道代は、今はファーニーに新設されたアルパインロッヂにいる。

 話を戻そう。戸塚チームに限らず、全員がセブンスヘブンに行く。ここは聖書に出てくる地名をとったものらしいが、実に広々とした、木が生えていない地形である。ただし、幾分南向きで、雪が少ない時は岩や石ころが出やすいので、新しい板を履いている人は要注意だ。ここからはウィスラーの向こう側にブラックタスクを見ることもできる。このへんをウダウダ滑ったあと、林間コースへ。
 日本では木の間を滑ると怒られるが、ウィスラーでは自由であることはウィスラーの最初のページで述べたとおりだ。この林間スキー(Tree Ski という)のためか、コースには木を間引きして、滑りやすくしたものもある。
 とにかく日本ではあまり体験したことがないパウダーなので、転びまくって滑った。
 その後、ホーツマン氷河まで登る。木が生えていないので、いかにも外国に来たぞという感じだ。ゾクゾクしてきた。ただし、その上のブラッコム氷河は今日は閉鎖されているというので、後日行くことにしよう。

 昼食はランデブーが混雑していたので、クワッド1つ分下にあるレストハウスへ。ここの目の前にはえらいコブ斜面が一直線にあるが、ここは1月の半ばに、モーグルのワールドカップが行われるコースらしい。
 昼食のお勧めはサンドイッチ(日本でもよく見かけるsubwayのようなもの)がいい。それに熱いスープをつけて、持参のリンゴで完璧だ。子供連れのおじさんがリュックから何か固まりを出すので、何かと思ったら小型のデコレーションケーキほどの大きさのチーズであった。これをナイフで豪快に切っていた。こんなの食べたら、鼻血が出そうだ。
 なお、写真にもあるように、ウィスラーが外国であると一番感じたのは、このリフトであった。この話は長くなるので、エッセイの「リフトに思う」を読んでね。
 午後はいつも自由行動になる。私は最初の2日はみんなとくっついていることにした。明日から、できるだけ自由に写真をとりにいこう。
■雲に覆われたビレッジに向かって ■ず〜っと向こうまで雲が谷を
 覆っている
■ランデブーのあたり。さあ、滑るぞ
 (94/95シーズン時はこのウェア) 
■上部のコース。
 
ホーツマン氷河。木が全く無い
 
■ホーツマン氷河のTバー。夏でもここは
 スキーができる 
■お向かいにウィスラーが見える。
 女性的で優雅な山だ。
■今日のセブンスヘブンは・・・
   
■7合目あたりから、ブラッコム山頂を見る
 
■セブンスヘブンの上部からウィスラー
 を見る
■セブンスヘブン途中のコース ■上部のボードパーク。ボーダーには
 ブラッコムの方が人気だ
■スダン・クーラーのアップ(中央やや右)
 現在では名称が変更されている
■中央やや右の雪のついたコース
 がスダン・クーラーだ
■下のコース。雪が少ない年はこうなる
 
ベース付近はほとんど除雪され
 ていた
スキー板をゲレンデで預かるサービス 雪が少し積もったビレッジ
こんな帽子も こんなフェースマスクも 今日はクリスマスイブだ。料理している
 のは、ガイドもしてくれたジョディ
■ロッジの柱(今は無い)。 ■これもロッヂの柱 ■ジャグジーは毎晩入った
   
■ウィスラーをバックに、セブンスヘブンとセブンスヘブン・エキスプレス(クワッド)
 
■ブラッコムから見るウィスラー。安定した斜度で、なだらかで細長く、実にスキー場に適した山であることが分かる。
 ウィスラーのピカ、ブラッコムのランデブーといったレストハウスは混雑する。トップシーズンに行く人は、コースの雪の状態が良ければ、ビレッジまで降りてランチにするのがいいだろう。ランチは急ぐなら「TODAY'S SPECIAL」がいい。その日のお勧めは割安で早く出される。
 なお、ピカもランデブーも、キッズスクールの生徒たちには特別室があり、子供たちは待たずに食事できるようになっている。
 
ウィスラーの概要
日記:1〜2日目(東京 〜 バンクーバー 〜 ウィスラー)
日記:3日目(ウィスラー)
日記:4日目(ブラッコム)
日記:5日目(ウィスラー 猛吹雪)
日記:6日目(ウィスラー パウダーデイ)
日記:7日目(ヘリスキー)
日記:8日目(ブラッコム ブラッコム氷河)
日記:9日目(ウィスラー 初心者コース)
日記:10日目(ウィスラー 〜 バンクーバー 〜 東京)
 
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