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函館七飯、グリーンピア大沼、ニヤマ高原

      はるばる来たぜ
 雪だるま 2006年レポート(10) 函館
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函館空港
函館空港。
私が子供のころ、ソ連のミグ25戦闘機が
着陸して大騒ぎになった空港だ
 北海道のスキー場で大きなところはだいたい行ったつもりだ。「つもりだ」というのは、本来のパウダーを経験していないニセコなどもあって、本当に「行ったことがある」と言っていいものか迷うところもあるわけだが、とにかくだいたい行ったことはあるのだ。ただ、まだ行ったことがなくて私が気にしているのが函館地区だ。ここのパンフレットを入手した時、ググッと感じたのは、あの駒ケ岳の写真だった。
 私は学生時代、自転車で北海道を一周したことがあるのだが、そのときは大沼のユースホステルに宿泊し、翌朝駒ケ岳を見てその絵になる外観に感動したものだ。代々木体育館のような、まるで屋根の中央がたるんだテントのような形に自然の造形美を感じたのを思い出し、前回の宮城蔵王のお釜のようにもう一度見てみたくなった。しかもそれを見ながら滑ることができるスキー場があるならぜひ行かねばなるまい。さらに盟主ともいうべき函館七飯(はこだてななえ)はコクド系でいつ閉鎖になるかわからないので急いで今シーズン行くことにした。またグリーンピア大沼も角度的に駒ケ岳の別の表情がみえるらしい。またニヤマ高原というスキー場も近くにあり、ナイターは函館の夜景を見ながら滑ることができるという。ええい、欲張って全部行っちゃえ。という狂った強行軍で、しかも天気を確認しながら突然行くことを決定したりするので、例によって誰もついて来てくれるわけがなく、一人で行くことになった。
 早朝、羽田から飛行機で函館空港に。ニセコやルスツなどがある新千歳空港と異なり、スキー客は格段に少ない。レンタカーを転がして函館七飯に到着した。
函館七飯のコースガイド(Webコースガイドを加工)
函館七飯スキー場公式サイト
函館七飯:ゲレンデマップ
 
函館七飯  
さて・・・
雪はいまひとつの気がするが
函館七飯:駒ケ岳
しらかばコース。
美しい駒ケ岳にシラカバも映える
函館七飯:駒ケ岳
左手に大沼が見えるぞ。
山と湖が調和した最高の景色だ
 まず函館七飯で感じたことは、駒ケ岳を意識して開発したものではないかということだ。とにかく駐車場の時点で駒ケ岳がすばらしい。よくもまあ自然にこんな山ができるものだと思うくらいだ。左端はとくにとんがり方がよく、スキー場から見ると山全体が左側を向いているように見える。山に前後ろなどありはしないのだが、「どちらが前だと思いますか」と質問されたら、多くの人は「左側が前に見えます」と答えるだろう。この駒ケ岳を一番いい角度から眺めながら滑ることができる、それがこの七飯の持ち味だ。
 さて、客はといえば、ガラガラだ。ううむ、コクド系だから危ないなあ。今年来て正解だった、なんてことがありませんように。ウサギマークの、苗場や妙高杉の原を彷彿とするような、コクドデザインのゴンドラ駅舎だ。

 ゴンドラでするすると標高920m地点へ。降りた場所ではボーダーやスキーヤーが装着やら準備体操やらをしていた。シラカバが多いのは北海道らしくていい。コースも広々としていて、なかなかいい感じだ。ちょっと滑るとすぐに駒ケ岳が眼前に広がる。文章よりも写真を見たほうが早いが、とにかく絵になる山だ。
 駒ケ岳は標高(1131m)の割には上半分に木が生えていなくて雪で真っ白になっている。本州の感覚で言うとまるで3000m級の高山のようだが、これは火山活動によるものらしい。3万年くらい前に1発目の大噴火で誕生した。もともとは富士山のような形であったが、江戸時代の大噴火で山頂が崩れ海にまで達し、また山麓の川をせき止めて大沼・小沼などの湖を作ってしまったという。だから現在でも活動中の噴火口は山のへこんだ辺りにあって、左端のとがったところは本当は中腹だったのが山頂に昇格してしまったとのことだ。

 コースそのものはやさしく快適だ。上級コブコースなんてのは見当たらず、チャレンジコースの急斜面にポールがセットされている程度だ。この斜面なら、ファミリーでもゴンドラのてっぺんから十分に楽しめるのではないか。夢中になって写真を撮りまくり、ビデオとか撮影した。ううむ、実にすばらしい。ただしバシっと見える天気ではなく、山と空の境目があやしく感じるような天気でもある。気温が上がる午後には見えなくなるだろう。とにかくコースを滑りまくり、疲れたところでアリエスカでランチをとった。普通ならここで次のスキー場に行くところだが、どうしても最後にノンストップで1本だけ滑りたくなってゴンドラに乗る。そして・・・予感的中、駒ケ岳はすっかり見えなくなっていた。まあ、朝一番の飛行機で来た甲斐があったというものよ。
 それにしても景色がすばらしいスキー場だ。北海道ファンの人にはぜひ一度行ってもらいたい。
  
 グリーンピア大沼のコースガイド(現地看板を撮影して加工)
グリーンピア大沼公式サイト
 グリーンピア大沼 ゲレンデマップ
  
       
グリーンピア大沼
  
がらんとしたベースだが、
リフトの左手がなにやら騒がしいぞ・・・
グリーンピア大沼
うえっ、ほとんど大人ばかりで
そり遊びだ!
グリーンピア大沼
最高地点から駒ケ岳。
ガスが強く、かなり補正しています
 ちょっと車を転がしてグリーンピア大沼へ。ここはグリーンピアの名の通り、大規模年金保養基地事業による全国13ヶ所の施設のひとつで、年金を突っ込んで赤字垂れ流しをやっていたのだが、昨年地元森町に譲渡されたらしい。しかし、ここに来る客は函館市民だろう。すぐ近くに函館七飯があって、これじゃあ勝負にならんのでは?。とにかくとりあえず滑ってみるか。ペアリフトたった2基だが、レイアウトは山の斜面をできるだけ使おうと努力はしているようだ。
 リフト券はリフト券売り場らしからぬ管理事務所みたいな建物の中で販売しているが、これはこのあたりが夏場は別のスポーツをする場所になっていて、その施設を兼ねているからのようだ。ええと、1回券3枚で十分だろう。
 ここで驚いたことがある。あちこちの張り紙、注意書きが日本語と中国語の併記になっているのだ。まさか、こんな所に中国から客が来るのだろうか。レインボウリフトに乗ってみて驚いた。リフトの左側に小さなそりレーンがあるのだが、大賑わいだ。なんだか楽しそうだな。よく見たら、大人ばかりだ。「!」予想どおり、みな中国人の客だ。おそらく台湾か香港、上海あたりだろう。みんなそりばかりで、ゲレンデではスキーをしている者が全然いない。実に異様な光景だ。以前、蓼科の池の平でこのような集団を見たことがあるが、やはりそうだったか。
 近隣諸国が豊かになることはいいことだ。いくらがんばっても彼らに天然雪はないから、冬に日本にスキーをしに来る人は増加している。今、スキー場が閉鎖しないためには、このあたりの新しいマーケットに対応しないとやっていけないだろう。特に北海道や東北で、アジア諸国と直行便を開設した空港の近くにあるスキー場は乾坤一擲の勝負に出るしかないと思う。それにしても新生のグリーンピア大沼、このあたりの努力の様子は伺える。
 上部はオーロラリフトという急なリフトがあるが、その横に刺激的な急斜面がストレートにあって、そそられるものがある。グサグサだが、もし圧雪が良くて客が多かったら、1級ウェーデルンの一発も見せてあげたいところだが、客は閑散としていた。今の時期、地元の人でも本当に好きな人はニセコまで行ってしまうようだ。
 最高地点からは、あの駒ケ岳を見ることができた。細長い駒ケ岳を横から見たのが七飯だが、こうして縦から見て全然山容が違うので、びっくりだ。イタリア側とスネガ側から見たマッターホルンのようで、別の山のようだ。
 写真ではガスが多くてよく分からないが、きれいに尾根が手前に伸びていた。ううむ、美しい。はっきり見える時に来ていたら、感激もひとしおだっただろう。そうそう、中国人スキー客(初心者だらけ)にもこの景色を楽しんでもらうために、山頂から思いっきりやさしい、山道みたいなスキーコースを作るといいと思うよ。中国人だらけになるから、チャイニーズ・ダウンヒルコースだ!。
 ちょろちょろ滑ってグリーンピアに入り、お土産を買う。従業員に話を聞いたら、あの人たちは台湾の客とのこと。今日のゲレンデの半分以上は彼らだったから、大切なお客様だ。
ニヤマ高原のコースガイド(現地看板を撮影して加工)
ニヤマ高原公式サイト
 ニヤマ高原 ゲレンデマップ
  
ニヤマ高原   
これまた人がいないなあ
ニヤマ高原
遠くの海岸線にうっすらと
夜景が見えるのだが
 大沼から七飯経由で函館へ戻る。その戻る途中にあるのがニヤマ高原だ。ここは規模、レイアウトだけ見るとなかなかのものだが、行ってみたらガラガラで廃墟かと思った。というのは、これだけ大きいのに客がいないのだ。ありゃ、土曜日はお休みかね?と、本気で思ってしまったくらいだ。
 もともとここは北海道の中でも南に位置して海に近く、斜面も南向きで標高も高くないので雪質もやや固めになる。そのためトレーニングによく使われ、トリノ五輪に出場した佐々木明選手の地元であり、子供のころはここで練習していたらしい。
 この時期、稼動しているリフトは下の1A、1D、クワッドだけだ。まあ仕方ないか。1回券でクワッドに乗る。事前の電話ではこのスキー場から駒ケ岳は見えないと聞いていたが、リフトの上からはあの駒ケ岳が山あいからちょっと顔を出しているのが見えた。さて、1本滑ってみたが、雪質は最悪であった。ショートスキーなので足を取られやすい。1本だけでスキーセンターに転がり込み、テレビで大相撲春場所を見ながらナイターが始まるのを待った。
 暗くなった。雪がしまり始めたようだ。ナイター目当ての客があつまりはじめたが、ほとんど地元だろう。きっと今の時期ならニヤマはナイターに限る、という「知っている」人たちに違いない。しかしガスがかかっているのか、函館市の夜景はどこにあるのか分からないような感じで、ただなんとなく海岸線に沿って横に広がっていますよ、という印象であった。スカッと晴れていたらまた格別であっただろうが、何はともあれ1日のバクチのようなスキー遠征だったのだから、函館七飯から駒ケ岳がきれいに見えただけでも感謝だ。
 函館駅前まで走ってレンタカーを返却し、夜中もえらい歩き回り、翌日も早くからめちゃくちゃに見学しまくりだが、このあたりは元マーケッターなので治しようがない。夜の飛行機で帰京したが、飛行中は熟睡していた。1日に3ヶ所のスキーであったが、それぞれがそれなりに意味を持つスキー場であった。
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函館七飯 函館七飯
函館七飯のリフトの鉄柱だ 一瞬、ナエバかと思ったぞ
函館七飯:駒ケ岳 函館七飯:駒ケ岳
こんな景色を子供の
ころから滑ることができる
シラカバコースは初心者でもOKだ
函館七飯:駒ケ岳 函館七飯:駒ケ岳
駒ケ岳を望遠で。
ちょっとかすんでいた
駒ケ岳を見ながらのんびりいこう
函館七飯:駒ケ岳 函館七飯:駒ケ岳
大沼が見えるぞ チャレンジコース側。
こちらは大沼もいい
函館七飯:駒ケ岳 函館七飯:駒ケ岳
大沼を望遠レンズで。
噴火でせきとめられた湖だ
いい斜面だ
函館七飯:駒ケ岳 函館七飯:駒ケ岳
木の色、山の色、湖が調和しておる ベース付近まで降りてきました
函館七飯 函館七飯
ん?何これ? おお!。そうか!
函館七飯 函館七飯
今まで何軒のアリエスカに
入ったことだろう
内部は木を基調とし、テーブル
幅が広いことが全国的に統一されている
函館七飯 函館七飯
スープカレーを注文しました。
おいしかったです
「北海道限定」のキリンガラナ。
北海道はよくテストマーケティングが
行われることで知られる
函館七飯 函館七飯
コクドではよく見る 午後、駒ケ岳は見えなくなっていた
グリーンピア大沼 グリーンピア大沼
グリーンピア大沼の
2カ国後表示
これがオーロラリフト
グリーンピア大沼 グリーンピア大沼
オーロラリフト脇の急斜面。
レーサーたちが練習していた
グリーンピア大沼の
施設だ。
グリーンピア大沼 ニヤマ高原
こんなアイスクリームを
食べました(うまいよん)
ニヤマ高原のセンターハウス
ニヤマ高原 ニヤマ高原
ニヤマにはなんと、
ジャンプ台があったぞ
リフト券売り場だが、
山小屋のようだ
ニヤマ高原 ニヤマ高原
3枚で十分 センターハウスを横から見る
ニヤマ高原 ニヤマ高原
クワッドは立派だ クワッドで上部へ
ニヤマ高原 ニヤマ高原
ミサイル攻撃を受けたようなプレハブ小屋だ 高速リフト降りて右のコース。
遠くセンターハウスが見える
ニヤマ高原 ニヤマ高原
センターハウス前のゲレンデ。
遠く函館市と海岸線がうっすらと見える。
ナイターが始まるぞ
ニヤマ高原 ニヤマ高原
センターハウス内。
ナイターが始まるのを待っているらしい
このへんはさすがローカルだ
ニヤマ高原 ニヤマ高原
ナイターが始まったぞ ううむ、よく見えないなあ
   
 
   
【ギャラリー】
函館七飯スキー場
スキー
函館山の夜景 せっかく函館に宿泊するなら函館山の夜景を見に行こう。
土曜日はネオンが少なめとのことだが(香港でもそんなことを聞いたが)、細長い地形を先端から見ると圧縮されてネオンが密集して見える利点がある。なかなかきれいだ。
スキー
大沼観光
函館観光
函館空港にソ連戦闘機着陸
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